固定資産税(土地・家屋)における縦覧及び閲覧制度について
縦覧制度とはどのような制度か
納税者が他の固定資産の価格との比較を通じて、自分の固定資産の価格が適正かどうかを確認できる制度です。
市町村長は、毎年4月1日から4月20日又は当該年度の最初の固定資産税の納期限の日(東京都23区は6月30日)のいずれか遅い日以後の日までの間、土地価格等縦覧帳簿を当該市町村内に所在する土地に対して課する固定資産税の納税者の縦覧に、家屋価格等縦覧帳簿を当該市町村内に所在する家屋に対して課する固定資産税の納税者の縦覧に供しなければならないこととされました。(地方税法第416条)
なお、縦覧制度を利用することにより、名寄帳というものを取得することができます。
名寄帳とは所有者が、同一区内に所有する、土地・家屋の価格と納税額が記載されたものになります。
通常、確定税額は6月に発布される納税通知書で確認しますが、縦覧制度を利用することにより早めに確認することができます。
縦覧期間
令和2年4月1日(水曜日)から同年から令和2年6月30日(火曜日)まで(第1期分の納付期限)まで(土・日・祝日の場合は翌月曜日)
縦覧時間
午前8時30分から午後5時まで
縦覧場所
不動産が存在する区の都税事務所
縦覧の対象者の範囲
土地価格等縦覧帳簿は土地に対して課する固定資産税納税者の縦覧に、家屋価格等縦覧帳簿は家屋に対して課する固定資産税の納税者の縦覧に供することとされています。
納税者に土地又は家屋の評価額の適正さを確認してもらうための制度であるため、固定資産評価審査委員会に審査申出ができる者(地方税法第432条第1項)と一致させる必要があるからです。
したがって、
借地・借家人等は固定資産税の納税者ではないので、縦覧することができません。
また、土地又は家屋に対して課する固定資産税の納税者であっても、他の区の縦覧帳簿を見ることはできません。
これは、東京都(23区)においては、固定資産税の課税手続は、地方税法第737条第1項の規定に基づき基本的に区単位で実施していることや、縦覧制度の改正の趣旨は、あくまで周辺の土地や家屋の評価額と比較するためであることを踏まえたものです。
縦覧できる者とは、具体的にどのような者を指すか。
縦覧できる者とは、
(1)固定資産税(土地・家屋)の納税者
(2)納税者共有者各人
(3)納税者の相続人、包括受遺者
(4)納税者が法人である場合、法人の代表者
(代表取締役、代表社員、理事長、支配人)
(5)固定資産に係る固定資産税の納税管理人
(6)破産管財人
(7)清算人
(8)上記以外の者で縦覧帳簿を縦覧することについて、納税者から委任を受けている者
ただし、納税者本人以外の者の場合、委任状等本人との関係を示す書類が必要となることに注意してください。
縦覧申請者の本人確認資料はどのようなものが必要か。
窓口に来た方の本人確認は書類・書面の原本による確認が原則です。
確認書類・書面により、以下のいずれかを満たすか確認します。
(1)身分を証明できる官公署が発行した書類(顔写真付き)(A)1種
(2)身分を証明できる官公署が発行した書類(顔写真なし)(B)2種
(3)身分を証明できる官公署が発行した書類(顔写真なし)(B)1種+A・B以外の特定の本人名義の書類(C)1種
納税者が法人の場合、当該法人が作成した記名押印申請書(法人の代表者印が押捺されたもの)及び申請書を持参した者の本人確認が必要となります。
納税者から委任を受けている者等の場合は来所者の本人確認を行うほか、委任状など代理権限を有することを示す書面により代理権限を確認します。
また、納税通知書についても代理権限を証する書類として扱います。
当該年度の納税通知書が発付されていない場合には、前年度のものでも可能です。
なお、土地(家屋)のみを所有している方は家屋(土地)の縦覧ができないことに注意してください。
閲覧・証明制度
(1) 閲覧
閲覧できるのは物件所在区の都税事務所のみ/1件につき300円
◆固定資産税課税台帳
固定資産の状況及び固定資産の課税標準である価格を明らかにするために備えなければならない台帳。(地方税法第380条第1項)
縦覧期間中、納税者からの申請は閲覧手数料が無料となる。
◆土地・家屋名寄帳
納税者の各区における所在物件(土地・家屋)を一覧にした台帳で、物件ごとの価格、相当税額等課税の明細が掲載されたもの。
現年度分の名寄帳閲覧(交付)申請については、縦覧期間中であれば窓口申請に限り、例外的に閲覧手数料が無料となる。
◆地籍図(現年度分のみ)
土地の地番等を明らかにした地図。個人情報の記載はないので、誰でも閲覧できる。
(2) 証明
23区内の物件であれば各区都税事務所で発行可/1件につき400円
◆評価証明(4月1日以降に令和2年度発行)
当該年度の賦課期日(1月1日)現在の所有者に係る課税台帳の登録事項に関する証明。
◆関係(公課)証明(6月1日以降に令和2年度発行)
課税物件にかかる価格及び課税(相当)額を証明したもの。課税額を証明するもので、非課税物件については証明できない。
◆物件証明(現年度分のみ)
物件に関する登記簿の記載事項と同様の台帳登録事項について証明したもの。登記情報のため、誰でも取得できるが、未登記物件については証明できない。
(3) 発行可能年度
課税台帳、名寄帳、評価証明、関係証明については、現年度を含め6年度分の発行が可能。
令和2年度であれば、平成27年度から令和2度分まで。
(4)手数料の収納
東京都事務手数料条例により事務手数料が定められている。
証明の交付は1件につき400円、閲覧は1回につき300円を手数料収納機(収納シール)による収納を行う。
東京都では、昨年度から各証明書の郵送発行をセンターで集約処理を始めました。
従来通り、都税事務所に来所の上発行することも、都税事務所への郵送請求も可能です。
郵送請求の場合、原則として、郵送センターを案内されますが、センターでの処理にかなりの時間を要するとの事。
実際、私は7月に請求してみましたが手元に届くまで2週間以上かかりました・・・。
せっかく混雑時期を避けたのに・・・。
というわけで、なるべく早めに請求されたい方は直接、都税事務所に請求することをオススメします。
さて、次回は、再び納税通知書の見方について解説します!