oHannaの日記

不動産にかかる税金のお話を主にしています。

固定資産税のあれこれ

こんにちは。

 

前回までは納税通知書に記載の課税情報について解説しました。

今回は、そもそも納税通知書が送られる先や納期限等について解説します。

 

 

 

固定資産税を納めるべきものとは誰か。また、年の中途において所有権が移転した場合はどうか。

 

令和2 年度の固定資産税について説明すると、令和2 年1 月1 日を賦課期日として、同日現在、固定資産の所有者として固定資産課税台帳に登録された者に、

令和2 年4 月1 日から始まる年度分の税として賦課します。

同じように、年税になるので、年途中で土地の利用状況が変更になったり、家屋が滅失または新築したとしても税額は変わりません。

 

したがって、年の中途で固定資産の売買等の所有権移転が行われた場合でも、賦課期日現在の所有者がその年度分の納税義務者となり、月割で課税することはしません。また、売買契約の際に固定資産税を日割り等で精算する商慣習がありますが、税負担の割合について

地方税法上は規定されておらず、あくまで当事者間の売買契約等の合意により行われるものになります。

 

死亡者に対する課税について

 

地方税法第9 条( 相続による納税義務の承継)の規定は、賦課期日後に納税義務者が死亡している場合で、その者の名で行った賦課決定は、当然その者の相続人が承継するものです。

さらに、法第9 条の2 第4 項の規定により、賦課処分等書類の送達を要件とするもので、死亡したことを知らないで相続人の一人に書類が送達された場合には、すべての相続人

に対してされたものとみなされるものであることから、納税通知書が相続人の一人に送達されれば、他の相続人に対しても送達されたものとみなします。

なお、賦課期日(1月1日)前に死亡した者に対する賦課は法第9 条の規定は適用されず、地方税法343条第2 項後段の規定により

「現に所有している者」を新たに認定することとなるので、死亡者に課税したものは無効となります。

 

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固定資産税の納期を分けているのはなぜか。その納期、納税通知書の発付日はいつか。

 

固定資産税の納期は、納税者に一時に多額の税負担を強いることなく、納付しやすいように、地方税法362条により、4 期に分けています。

納税通知書は、平成10年度定期課税から毎年原則として6 月1 日に発付しており、令和2 年度においては6 月1 日の予定となっています。

 

令和2 年度の固定資産税の各期の納期及び納期限について

 

令和2 年度の納期と納期限は次の表のとおりです( 地方税法20条の5 第2 項及び東京都都税条例第129条第1 項)。

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第1 期の納期を条例で平成10年度から6 月に変更した理由

 

5 月納期では、3 月期決算の法人の法人事業税・法人都民税の納期及び自動車税の納期と重なることから、他税目の納期との調整をとる必要があったためとされています。

また、平成10年度から納期前納付に係る報奨金を廃止したことによる納税者の負担感の軽減、納税の便宜の向上を図るため、第1 期の納期を6 月としています。

 

平成10年度から報奨金が廃止された理由。

 

報奨金は、昭和25年に戦後の混乱した社会情勢と不安定な経済状況下において、地方財政の基盤強化と、税収の早期確保、自主納税意欲の向上等を目的として創設されました。

固定資産税に係る報奨金について東京都( 特別区) においては、

(1) 徴収率が約99% と高く、制度創設時の目的はおおむね達成されたこと。

(2) 近年の低金利の中で、約5 % もの利回りに相当する報奨金を交付する制度を継続する必要性が薄くなったこと。

(3) 他団体における報奨金の取扱いとの均衡を図ったこと。

などの理由により、平成10年度から廃止されました。

なお、平成11年度から、東京都( 多摩地域)の全26市が固定資産税の報奨金を廃止しており、東京都( 特別区) は住民税の普通徴収分に係る前納報奨金を廃止しています。

 

固定資産税の全期用納付書で納付する場合、いつまでに納めればよいか。また、全期用納付書に納期限が記載されていない理由。

 

全期用納付書は、地方税法365条第1 項及び東京都都税条例第132条に規定された納期前納付用の納付書であり、第1 期分の納付と同時に第2 ~ 4 期分をまとめて納付できるよう、納税者の納付の利便を考慮し、納税通知書に添付しているものである。

全期用納付書には使用期限等についての規定はなく、第1 期納期限を過ぎても金融機関等で納付することができるが、第1 期納期限以降に納付された場合は、各納期限の翌日から納付日までの期間に応じ、延滞金がかかる場合があります( 納税通知書にも同様の注意文を記載している。)。

また、全期用納付書で納付する場合の納期限については、法令及び条例等に規定がないことから、全期用納付書に納期限を記載することはできないことととされています。

 

 

 

納税義務者ごとに名寄せする根拠。

 

法第364条第2 項の規定は「固定資産税を徴収しようとする場合において納税者に交付する納税通知書に記載すべき課税標準額は、土地、家屋及び償却資産の価額並びにこれらの合計額とする」とし、

免税点の適用が異なる資産ごとに、納税者が所有する資産の課税標準額を合算し、表示するものとしている。この規定により、納税者ごとに資産を名寄せして、賦課するものと考えられます。

また、法第387条の規定では土地・家屋名寄帳を備えることとされていますが、これによって納税者ごとに合算した課税標準額及び税額を算定することができることになり、

法第351条に規定する免税点未満であるか否かの判定や法第20条の4 の2 に規定する課税標準額や税額等の端数計算を行い、固定資産税の課税事務を進めていくこととなっています

( 固定資産税逐条解説 固定資産税務研究会編)。

 

 

筆頭者の選定基準について。

 

東京都( 特別区)においては、土地又は家屋の所有権が共有の場合には、持分の多少に関係なく、

不動産登記簿等に最初に登記、登録されている者をもって筆頭者としています。

 

 

共有物に係る固定資産税等について、各共有者の持分の割合ごとに納付することは可能か。

 

共有物に係る固定資産税等については、区分所有家屋及びその敷地( 共用土地)など、法第352条及び第352条の2 の適用を受ける場合を除き、

法第10条の2 の規定により、共有者全員が連帯して納税する義務が生ずることから、当該共有者の持分で按分して課税することはできないものとされています。

しかし、共有形態の複雑な変化や、個人意識の高まりから、共有者各自の持分の割合ごとに納付を要望するケースが増加してきている実態等に鑑み、

東京都( 特別区)においては、平成11年度の定期課税分より、「共有に係る分割納付制度」を施行しました。

この制度は、連帯納税義務による納付の困難性に着目したもので、共有者全員の合意に基づく申請があり、かつ一定の要件を充足する場合に限って、

共有者全員に対して納税の告知及び共有者各自の持分に応じた額の納付書を作成する、納付方法の例外的取り扱いです。

なお、この制度の適用によって、連帯納税義務が解除されるものではないので持ち分割合のみ納付したからといって納税義務が失われたことにはならないので注意しましょう。

 

固定資産税・都市計画税の納税通知書の再発行ができない理由。

 

法第13 条及び同法第364 条により、納税通知書は、納税通知書の名宛人に「固定資産税額の確定」と「納付の請求」とをするものであり、納税通知書の送達を受けた者は都税

事務所長により賦課処分されたという法的効果が発生する。既に名宛人に都税事務所長から納税通知書が送達されており、更に納税通知書を再発行し送付すると、一般的には納

税義務者に2 回賦課処分を行ったことになるため、納税通知書を再発行することはできません。

また、課税明細書( 償却資産については送付していない。)は、法第364 条第3 項及び第4 項により、土地又は家屋に対して固定資産税を徴収する場合に、納税通知書と併せ

て送付するものであることから、これのみを再発行・送付することはできません。

課税明細書の内容を再度確認する場合、資産が所在する区にある都税事務所において課税明細書の内容が記載された土地・家屋名寄帳で代用することが可能です。

(課税明細書と名寄帳は記載内容がほぼ同じ。違いは、課税明細には非課税土地は記載されませんが名寄帳には記載されます。)

 

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