oHannaの日記

不動産にかかる税金のお話を主にしています。

固定資産税・都市計画税について(不服申し立て制度)

今回は、価格等に不満がある場合の申し立ての方法について解説します。

不服の申し立て方法は、「審査の申出」と「審査請求」の2種類があります。申し立て方法を誤ると申し立て事項の審査自体してもらえなくなるので注意が必要です。

(1) 審査の申出

ア 審査の申出ができる事項

固定資産課税台帳に登録された価格とされています( 地方税法第432条第1 項)。

なお、令和2年度は、3年に1度の評価替え年度には当たらないため、次のものが審査の申出の対象となります。

① 令和2年度において新たに固定資産税を課することとなった土地及び家屋で、当該土地又は家屋に類似する土地又は家屋の基準年度の価格に比準して決定した価格。

② 土地の地目変換及び家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情がある土地及び家屋で当該土地又は家屋に類似する土地又は家屋の基準年度の価格に比準して決定した価格。

③ 土地の地目変換、家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情を申し立てる場合。

地方税法附則第17条の2 第1 項の規定の適用を受ける土地の修正価格。

* ただし、審査の申出の理由は、修正に関する部分に限定される。

⑤ 法附則第17条の2 第1 項の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てる場合。

宅地の価格の下落状況の把握(地方税法附則第17条の2)

宅地の価格について、国土利用計画法施行令(昭和49年政令第387号) 宅地の価格について、国土利用計画法施行令(昭和49年政令第387号)による都道府県地価調査及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑による都道府県地価調査及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価を活用し、平成29年1月1日から平成31年7月1日までの下落状定評価を活用するものとする。

つまり、半年間の下落率を反映するために設けられる「修正率」に不服がある場合。

⑥ 法第417条第1 項※の規定により価格を決定又は修正した場合

※固定資産の価格等の登録がなされていないこと又は登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては、直ちに固定資産課税台帳に登録された類似の固定資産の価格と均衡を失しないように価格等を決定し、又は決定された価格等を修正して、これを固定資産課税台帳に登録しなければならない。

つまり、評価替え年度ではないが、価格を修正又は新たに価格がつけられたもの。

イ 審査の申出をすることができる期間

定期課税分( 調定前訂正処理分含む。)については、固定資産の価格等を固定資産課税台帳に登録した旨の公示の日( 東京都( 特別区)の場合、令和2 年度は令和2 年4 月1 日) 又は法第417条第1 項の通知を受けた日から納税通知書の交付を受けた日

後3 月までの間( 法第432条第1 項)。この3 月という期間は、民法第143条に基づき、暦に従って計算する( 以下同じ。)。

随時課税分については、法第417条第1 項の通知を受けた日から3 月以内( 法第432条第1 項)。

6月に発送される「納税通知書」により価格を確認した場合は、同年9月の第1週目までが期限となります。

ウ 審査申出書の提出

固定資産税の納税者は、固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合、文書をもって、東京都固定資産評価審査委員会( 以下「審査委員会」という。)

に審査の申出をすることができる( 法第432条第1 項)。

審査の申出は、審査申出書( 東京都固定資産評価審査委員会規程様式(1)「土地」、(2)「家屋」、(3)「償却資産」)を正副2 通提出して行う( 東京都固定資産評価審査委員会規程第8 条)。

エ 提出先

〒163-8001 東京都新宿区西新宿2丁目8番1号

東京都固定資産評価審査委員会

電話 03(5388)3005

審査申出書は、当該審査の申出に係る固定資産所在地の区域を所管する都税事務所長を経由して審査委員会に提出することができる。





(2) 審査請求

ア 審査請求ができる事項

賦課についての不服がある場合は、審査請求を行うことができる。ただし、審査の申出事項である価格についての不服を審査請求の理由とすることはできない。

不服の理由としては、「非課税にすべき。」、「住宅用地と認定すべき。」といったものがある。

イ 審査請求ができる期間

処分があったことを知った日( 納税通知書等が到達した日)の翌日から起算して3月以内

ウ 審査請求書の提出

固定資産税及び都市計画税における審査請求は、審査庁である都知事に審査請求書を提出することにより行う。

行政不服審査法では、特に様式は定められていないため、審査請求書には行政不服審査法第19条等に掲げる事項を記載していれば任意の様式でも構わない。

エ 提出先

〒163-8001 東京都新宿区西新宿2丁目8番1号

東京都総務局総務部法務課審査庁ライン

電話 03(5388)2498

審査請求書を審査庁に提出する際は、正副2 通を作成し下記へ提出する。

審査請求書も賦課処分を行った処分庁である都税事務所長を経由して審査庁に提出することができる。

不服申立先の選択

固定資産税について不服を申し立てる場合、

・「価格についての不服」は審査の申出

・「価格以外の不服」は審査請求

です。具体的には、

○「審査の申出」に該当する不服

・路線価がおかしい

・地積が異なる

*「地積」は「価格」とは別に課税台帳に登録されます(地方税法381条1項、不動産登記法34条1項4号)。しかし、地積についての不服とは、「地積が異なっていることにより価格に問題がある」という趣旨と解されるため、「地積についての不服」は「価格についての不服」となります。


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・地目が異なる

*「地目」も「価格」とは別の台帳登録事項ですが、「地積」と同じ理由により、審査の申出事項となります。

不動産登記規則第100条によれば、地積は、水平投影面積により、㎡を単位として定め、 1㎡の100分の1(宅地及び鉱泉地以外の土地で10㎡を超えるものについては、1㎡)未満の端数は、 切り捨てることとされています。

つまり、登記地目を「公衆用道路」「学校用地」「墓地」「境内地」等とした場合は10㎡未満を課税しません。

よって、認定地目の誤りがあると課税面積にも影響が出ます。

・建物が古くなったので価格を下げてほしい

・評点項目「○○」に関する補正係数がおかしい

○「審査請求」に該当する不服

・住宅用地の特例が適用されていない

・非課税に該当する資産が課税された

・課税客体が存在しないのに課税された

・区分所有家屋一棟の税額について、区分所有者ごとに按分した税額が高い

* 区分所有家屋について、地方税法では一棟の固定資産税額を専有床面積割合で按分した税額を各区分所有者が納付すべき税額としています(法352条1項)。しかし、東京都の実務では、一棟についての単位当たり再建築費評点数に各区分所有者の床面積を乗じて「各専有部分の評価相当額」とし、これに税率を乗じて各区分所有者の固定資産税額としています。

よって、「各専有部分の評価額」は地方税法上の概念ではありません。

区分所有者からの不服については、「一棟の価格」の不服は審査の申出、区分所有者ごとに按分した税額、按分の基礎となった専有部分の床面積割合の不服は審査請求となることに留意してください(課税事務提要 第2章第12節第1)。

申し立て制度の流れ

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固定資産評価審査委員会とは。

固定資産評価審査委員会とは、固定資産課税台帳に登録された価格に関する不服を審査決定するため設置された行政委員会です( 地方自治法第180条の5 第3 項、法第423条第1 項及び東京都都税条例第140条第1 項)。

東京都固定資産評価審査委員会の委員は、都議会の同意を得て、都知事が選任します(法第423条第3 項)。

東京都固定資産評価審査委員会の委員は、不動産鑑定、建築、法曹、税務会計及び行政経験の各分野から選任されている。現在、9 名の委員がおり、3 つの審査会に分かれて審査決定を行っています。

不服の申し立てを行う際は、提出先や記載内容に誤りがあるといけないので不動産を所管する都政事務所に確認したうえで提出することをお勧めします。

次回は、固定資産税・都市計画税の納税通知書発行にあたり、納税義務者や納付等に関する事項について解説します。


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